足立美術館を訪れて

 

天秤座の新月は、潜在意識にある美的感覚を刺激し、洗練された美的センスを与えてくれます。

 

このチャンスを活かし、世界が認めた日本庭園「足立美術館」の美しさにふれながら、意識下に眠る美的感覚を刺激してみました。


「枯山水庭」をはじめ、「白砂青松庭」「苔庭」「池庭」などの日本庭園には、心の底から深く感じさせる味わい深い趣きがあり、私の心を静かに癒してくれました。

 

ゆっくりとした時間の流れの中で、心惹かれる日本庭園を心のままに愛でることができました。


自然と調和したパノラマに広がる壮大な「枯山水庭」は、気持ちが一気に解放され、とても清々しくなります。この「枯山水庭」では、館内の窓が額縁のように仕立てられおり、個人の視点によって景色が変わる『生の額絵』を楽しむことができました。

 

個々の視点を通して見る庭園の景色は、その個人に委ねることができます。そのため、個人レベルでのさまざまな情景を楽しむことができます。私も自分の感覚にしっくりくる視点(画角)を発見できたとき、この上なく心が落ち着きました。

 

「生」の息吹を感じる庭園は、平面の絵画では味わうことのできない、居心地のよいエネルギーに溢れています。自然の中にある光と陰のコントラストが、庭園の一遍に「静と動」を調和させていました。時々、どこからか聴こえてくる野鳥のさえずりが「躍動」となって伝わってきました。

 

目を閉じて耳を研ぎ澄ませると、次第に滝から勢いよく流れ落ちる水の音や心地よい風の音、葉の揺れる音など、豊かな自然界のハーモニーがオーケストラの協奏曲のように奏でられているよう感じられ、私の心を心地よく和ませてくれました。


「白砂青松庭」では、家屋の玄関から床の間の壁(掛け軸の枠のようにくり貫かれた壁)を通して、その先の庭園を眺められるという、『生の掛け軸』が観賞できます。この掛け軸に映し出される山水画のような光景は、季節や天候、日差しのコントラストによって様々な表情に変わります。

 

面白いことに、時おり庭園の中を歩く人が、この「生の掛け軸」の中に入り込んできます。映し出される光景は絶え間なく変化し、いつまでも飽きることがありませんでした。

 

その限られたスペースの壁枠の中から眺める庭園は、あたかもタイムスリップしたかのような不思議な感覚を与えてくれました。この不思議な時空間は、この上なく風情があり、心の奥底から癒される贅沢な時間を過ごすことができました。


これからも機会があれば、四季を通して(新緑の時期に、風情ある梅雨時期に、紅葉の時期に、深雪の時期に・・・)、素晴らしい日本庭園の表情を愛でに訪れたいと思っています。